ライブが次のフロンティア – VidCon 2017 report from FIVE #1

  • Twitterでシェア
  • Facebookでシェア
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ライブが次のフロンティア – VidCon 2017 report from FIVE #1

  • Facebook
  • Twitter

こんにちは、モバイル動画広告プラットフォームを運営する FIVE 代表の菅野です。今回、弊社のメンバー3名で米国で開催されたVidCon に参加してきたので、それぞれ収穫を連続コラムとしてお届けしたいと思います!

VidCon とは?

さて、VidCon をご存知ない方もいるかと思いますのでまずは簡単に概要から。VidCon は ”Video Conference” の略で、カリフォルニア州アナハイムで開催されているオンラインビデオの米国一大イベントです。元々、人気のYouTuberが始めた草の根コミュニティイベントという起源があり、グローバルプラットフォームが軒並みプレゼンテーションを行うビジネスカンファレンスという側面に加えて、夏休みに入ったティーンエイジャーが YouTuber やオンラインクリエイターをお目当てにごった返す祭典になっています。日本ではあまり知られていないイベントかもしれませんが、すでに8周年を迎えていて米国ではメジャーイベントと化しています。実際、アナハイムのUber ドライバーはみな「ああ、VidConに来たのね」と、すっかり定着している様子でした。

場内の様子は以下の写真のような雰囲気で、1Fはティーンエイジャーで文字通り溢れかえっています。展示会場では人気のYouTuber などのインタビューステージを見たり、スポンサー企業のアトラクションスペースで一日中遊ぶことが可能なまさに「お祭り」です。

そして会場2Fはクリエイターコミュニティのセッション、そして3Fはビジネス向けのセッションが終日行われていて、参加者層ごとに区分けされています。3Fのビジネス系の人たちは、1Fのティーンの盛り上がりや2Fでのクリエイターコミュニティの熱量を生で目撃します。ブランド、インフルエンサーやプロダクション、プラットフォーマーが入り混じって、こうした「エコシステムの凝縮」を観察しながらオンラインビデオの次の波を見逃すまいとするわけですね。ショーアップが上手な米国、こうしたイベント設計ひとつとっても感心してしまいます。

ひとつキーワードを選ぶとしたら、それは「ライブ」

YouTubeのエコシステムは冒頭のティーンエイジャーの様子を見ても分かるとおり、すでにメインストリームな産業として確立されている一方で、ある意味での「一服感」があります。たとえば、 “How to Build a Programming Strategy That Won’t Burn You Out “燃え尽き症候群にならないためのコンテンツ制作戦略” や、 “The Changing Face of the MCN” “マルチチャンネルネットワークの次のモデル”  といったようなセッションが象徴しているように、YouTube の動画クリエイターやMCNによる広告収益分配モデル&ブランドタイアップはすでに一巡しており、次の波を探るフェイズに入っているようです。

そんな状況のなかで、各セッションを通じて次のフロンティアとして注目度が高かったのが「ライブ動画配信」でした。ここではまだプラットフォーマー・クリエイター・タレントマネジメント会社それぞれのレイヤーで勝者不明の段階、次のホットな分野として見なされていることが感じられました。あくまで、VidCon がオンラインクリエイターやミレニアル世代にフォーカスしたイベントだったということを念頭に入れる必要がありますが、プラットフォーマーによるオリジナルコンテンツへの投資と並ぶ大きなトピックであったことは間違いありません。

Facebook+Instagram の際立つ存在感と
モバイルライブ配信用新製品 “Creator App” の発表

そもそも、VidCon は YouTuber がはじめたイベントということも手伝って、YouTube がずっとスポンサーをしてきているという歴史があります。なので、筆者もやはり YouTube 一色なのかな?と思っていたのですが、(少なくとも今年のビジネス向けで)ひときわプレゼンスを発揮していたのは Facebook でした。

Facebook+Instagram が持つセッションの数、そして各セッションで言及される回数ではYouTubeを上回っていた印象があります。IPOしたばかりの Snapchat は意外にも存在感はあまりなく、数日前に投げ銭機能を発表したPeriscope に対しては「ちょっともう遅いよね」というやや冷めた反応、他の消費者向けサービスではTwitch や Musical.ly が多少言及される印象です。 Periscope を提供するTwitter に対しては、vine というコミュニティを失くしてしまったことによるトラウマをなお引きずっているのかもしれません。

そうしたなかで、Facebook はVidConに合わせて新しいプロダクト ”Creator App” のリリースの発表をぶつけてきていました。これは、クリエイターがスマートフォンひとつだけで、”プロフェッショナル” なライブ配信を行うための機能を提供する専用アプリです。具体的には、以下のような機能が含まれると発表されていました。

 

①Intro & Outro ライブの開始と終わりを告げる定形の「オープニング&エンディング挿入機能
②ライブ用フレーム ライブ配信中に配信画面をデコレートし、専用スタジオのような演出ができる機能
③専用ステッカー ライブ配信中に自分のオリジナルスタンプをユーザーに見せる機能
④分析機能 ライブ配信の視聴傾向などを分析する機能

Creator App 発表の様子

このアプリは今年の秋頃にリリース予定ということですが、ライブ配信をよりプロフェッショナルかつエンターテイメント性を高める工夫が随所に見られました。なにより、プレゼンテーション内で、Facebook はクリエイターファーストであるという強調が何度もされていて、YouTuber や他プラットフォームで活躍するクリエイターやインフルエンサーを根こそぎ囲いたいという強い意欲が感じられます。こうしたFacebook の熱量高いメッセージも手伝って、クリエイターやマネジメント会社などからの期待感が醸成されているような印象でした。それに対して、YouTube もモバイルライブ配信機能を紹介しており、ライブを主戦場とした競争がますます激しくなりそうです。

Facebook は動画戦略を中心に据えて矢継ぎ早に機能を追加

Facebook はライブだけではなく、動画全体を戦略の中心に据えていることはすでに知られている通りです。他にセッション内で紹介のあった動画関連の機能だけでも以下のようなものがありました。

Chat with friends スポーツ中継のライブなどで、友達と同時視聴しながらチャットができる機能
Groups for pages クリエイターがファンを誘導できるfacebook ページ(YouTube チャンネルに該当するような役割)
Video tag 動画内に登場する人を解析してタグ付けし、後からキャッチアップ視聴しやすくする機能

Facebook は直近でミッションステートメントを”bring the world closer together”  へと変更を加え、コミュニティ形成をより強化する意思を示していますが、動画は「人と人をつなげてコミュニケーションを産む強力な武器」として捉えているようです。上記のライブ中継を見ながらのチャット機能はあたかも居間でテレビを一緒に見ているような体験価値を提供しようとしていますし、Groups for pages はニュースフィード内のワン・オフ視聴(一回限りの動画視聴)ではなくクリエイターとファンの間に文脈をつくって「ロイヤルファン化」「ディスティネーション化」を促します。さらにVideo tag でタグ付けされれば、当然後からその動画にキャッチアップして視聴しにいってコメントを付けるといった習慣が強化されます。

こうした動画関連機能をどんどん拡充させて、ユーザーの動画視聴の習慣強化やクリエイターの投稿支援を促してエコシステムを拡大していく活動の背景には、当然企業からのマネタイズが視野に入っています。

Facebook の動画担当VP  Fidji Simo によるセッションでは、 マネタイズは アド・ブレイク(ライブ配信中の広告挿入)とブランドタイアップを中心に考えていると述べていました。ご存知の通り、アド・ブレイクについてはさまざまな実験が行われている最中ですが、印象的だったのは「ライブの方が広告を入れやすい」という言葉です。なぜなら、編成型の動画コンテンツと違って、ライブ配信者が「じゃあ、次に15秒のブレイク入れるからちょっとまっててね」といったように、インタラクティブな誘導を通じてユーザーに広告の違和感を減らすことができるからです。筆者自身も、「ライブ × 広告モデル」においては、広告に文脈をつくるうえで配信者のアド・ブレイクのコントロール性とインタラクティブ性は大切な要素であるとかねてから考えていましたが、Facebook が実験を通じてそのように述べていることは印象的でした。これは予測に過ぎませんが、先ほどご紹介した Creator App には、将来的にライブ配信時の広告挿入のコントロール機能も搭載されてくるでしょう。そして、こうした収益化手段の強化を見越して、配信者の囲い込みがヨーイドン!で始まろうとしています。

それを裏付けるかのように、別のセッションで、Al Rocker Entertainment社というTV番組プロデュース企業でコンテンツマーケティング&デジタル戦略のディレクターを務める Jon Burk氏が、FedEX や MDA が各プラットフォームで実施したスポンサードライブの事例を紹介しながら、  “It’s not a hobby anymore” “ライブ配信はもう趣味じゃないんだ” と述べていたことが印象的でした。

米・中で異なる動画市場・ライブ動画配信市場の
進化の方向性とこれから

アジアに目を向けてみると、中国ではすでに網紅(ワンホン)と呼ばれるネットインフルエンサーや個人によるライブ配信市場はスタートアップが100社以上乱立するような市場でおおいに盛り上がっています。たとえばこのWSJの記事に紹介されているように、外資プラットフォームが参入できない中国では、そのプラットフォームの座を得ようと各事業者が入り乱れながら、「ライブ配信×EC」や「ライブ配信×ギフティング」のモデルを中心に独自の市場を形成しつつあります。

一方、VidCon を見ている限りでは、米国におけるライブ市場は「YouTube モデルの次」として見立てられているようで、「ライブ×ブランド広告」「ライブ×ブランドタイアップ」に注目がより集まっているように感じられます。ショービジネスの文化があり、ブランド・マーケティングがビジネスモデルにしっかり組み込まれている米国では、ライブ市場もエンターテインメントとして進化を遂げてブランド広告市場を中心に狙って動いている気配があります。

さて、ここまで第一弾レポートではライブをキーワードとしてVidCon 2017 を振り返ってきました。グローバルで大きなマーケットはすでに動き出しており、既に米国と中国ではそれぞれ独自の方向性に進化を遂げようとしてきています。実際、筆者の体感値としても、日本の動画市場は米国の3〜4年後くらいにトレンドが本格普及する印象があります。これらを踏まえながらも、日本発でユニークな価値や取り組みを進めていきたいですね。

 

最後にアドブレイクですが(笑)、筆者が経営する FIVE では日本国内で重複を除き約2,700万人のモバイルアプリユーザーへ動画を届けられるサイズになりました!手前ミソですが、、これまで数多くのブランドやメディアに利用していただいており、今回のVidCon を通じて発見できたトレンドも見据えながらも、独自のアイディアと製品づくりで日本の皆さんに役に立てるように頑張っていくつもりですのでご期待ください。それではVidCon レポート第二弾・第三弾も乞うご期待!